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「青旅」近鉄電車で吉野川のほとりへ




阿部野橋から1時間電車に揺られて着くのは奈良県大淀町。

 

大阪で生まれ育った13歳の少女は初めて田舎に来たのかと思えるほど古い昭和の街並みに声を上げる。

 

「ここ住みたい!」いや無理やろ、とすかざすママがツッコミを入れる。イオンないで?「えー?イオンないとかムリ」

 

あっけらかんとして彼女は白旗を上げる。ここは都会っ子には刺激の少ない街なのだ。

 



モデルの仕事をしているらしい。

 

カメラを向けるとさっと憂いのあるを表情をつくる。慣れてるなあ。

 

それはどの場面で撮って同じ。自然とそうなるらしい。

 

それも彼女らしさなのだろう。

 

笑顔もかわいいのだが、やっぱり素の表情を撮りたい。

 

 

 

吉野川の河原で石を投げて遊ぶ彼女の横顔を眺める。

 

醒めた大人らしさの中にちらりと垣間見える無邪気さ。

 

そんなこときっと彼女はお構いなし。今を楽しむのに忙しいのだ。

 



撮影終わりを彼女に告げて駅に戻る。

 

越部駅は小さな無人駅。大阪行きの上りホームには行くには踏切を渡る。

 

傾いた陽射しの中で彼女はレンズを見る。

 

もう撮影が終わったという安堵なのかどうか、一人の女性がそこにいる。

 




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