丸い帽子をかぶったようなマッシュルームカットの五歳の男の子はスニーカーを履いている。
着物の襟元に蝶ネクタイがデザインされていて、明治時代っぽいから靴でもいいかなあと思うけれども、草履を履きますかと尋ねたら、「本人が嫌がるからこれでいいです」とママは言う。
それでも草履は持ってきているというので、タイミングを見て履き替えてさせてみよう。
意外と子どもは履きますよ。「そうですかあ?」とママは疑わしそうだ。
祈祷の受付をしたら、すぐに拝殿に入って祈祷が始まる。
僕は入れないので外から見ていたら、男の子はママの膝の上に座っているようだ。怖いんだろう。
無事に祈祷が済んで出てきた彼はすっかりテンションが下がって帰りたがっている。
それでもなんとかなるだろうとは彼を見ていて思っていたから、しばらく遊んで祈祷のことなぞ忘れて元気を取り戻したところで、草履を履かせてみたらすんなりできて、そのまま記念写真を撮る。
親が子どもの写真を撮ることは日常でも、親子揃って写真に写ることはあまりない。
男の子だから七五三はこれっきりだけど、一年おきでもいい、そのときの姿で家族写真を撮ってほしいと思う。
時間は決して巻き戻らないので。
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