「青旅」ひたちなか海浜鉄道で海辺まで


 

分厚い雲の西の彼方だけがオレンジ色に染まっている。

 

遠くの踏切の音が鳴って、一両きりの列車がやってくる。

 

誰もいないホームで、大人になりかけの少女はまっすぐにレンズを見つめる。 

 

生真面目な表情。


笑いを取ろうかなとちょっと思いかけたが、そのままシャッターを切る。

 

 

 

彼女にとって2回目の「青旅」は、前回の記憶をなぞるようにひたちなか海浜鉄道に乗る。

   

進学校に通う彼女はひたすら勉強に打ち込んでいるらしい。

 

夏休みもほとんど遊ばず勉強ばかりだそうで、聞いている僕のほうが我が身を省みて申し訳なくなってくるほどだ。

 

彼女の心の中には期する目標があって、きっと一人でそれを掴み取りにゆくのだろう。

  

どんな大人になりたいかと問うと、彼女は少し悩んで「自立した人」と答えた。

 

 

 

阿字ヶ浦のひとつ手前の駅で降りて、東にしばらく歩くと海に出る。 

 

今年初めて海に出会った少女は、引き寄せられるように波打ち際に立つと、寄せては返す波の動きに合わせて遊びだす。

  

3年前もそんなふうにして、砂浜の上を駆け回っていたなあ。

  

彼女の内側にある無邪気な子どもの部分がほんの少しだけ顔を見せる。

 

いつか素敵な大人になった彼女に会うことがあったら、それをまた探そう。