「青旅」湖西線で琵琶湖のほとりへ



2021年5月3日 


 

大きめの柔らかそうなパーカーを着た少女は、白い雲のようにとらえどころがない。

 

赤ちゃんの頃から毎年撮ってきたのに、彼女のことをまだ何も知らない。来年は中学生になるというのに。

 

大人になったら何したい?そんな質問も初めてしてみたけれど、さあ……と首を傾げられておしまいになった。

  

成長するにつれて、少しずつ無邪気さが影を潜めて、彼女は思慮深い大人びた表情を見せる。

 


 

「青旅」は京阪電車を上新町で降りて、大津の古い商店街を歩く。

 

彼女の興味を引くようなものはまったくないが、これは僕の趣味です。

 

でも知らない町を歩くというのは、ふだんとは違う感覚を刺激される。

 

彼女にはリアルなRPGのようなものだと思ってもらえたらいいんだけど。

 


 

JR湖西線に乗り換えて、北小松駅で降りる。

 

高架になっている駅の周りにはささやかに集落が広がっている。「青旅」でなければ訪れることもないだろう。

 

両側に古い家が並ぶ静かな道を歩きながら彼女を撮り続ける。

 

会話の弾まない初めてのデートのようであるが、彼女は僕のリクエストに応じてポーズをとる。

  

それなりに楽しんでくれているのだろうか。

 

 

 

勘を働かせて集落の中の細い道から外れて用水路沿いの草むらを抜けると、白い砂浜と真っ青な琵琶湖が現れた。

 

何事も控えめな少女は嬉しそうに水辺に近寄る。

 

濡れないようにしながら、彼女は砂に混じった宝石のようなガラスのかけらを集める。

 

おそらく彼女にはすでに彼女の世界があるのだろう。

 

それがどんな形をしているのか、彼女自身もまだわかっていないのかもしれないが、それを見つけるために旅をするのもいい。


きっといつか本当に一人旅に出るだろう。

 

そのときに今日のことをちらりと思い出してくれますように!