子どもと家族の写真(静岡県焼津市)
- 三原由宇

- 8月13日
- 読了時間: 1分

焼津の海辺の街の歴史は古い。
夏の大祭では神社から神輿が出て一日かけて街の中を練り歩く。
白装束の男衆が独特の掛け声でもって担いでいる。
その途中で年齢別の巫女さんが舞を奉納するのだが、その一人の少女の写真を撮る。
奉納する場所は小さな祠の前である。
そこへカメラ・スマホを手にした人が詰めかけるので立錐の余地もない。
仕事だから最前列にいたつもりがさらに前に割って入ってくる人もいて、わずかな撮影スペースを確保しながら舞が始まるのをじっと待つ。
なんといっても僕は余所者なのだ。
十二歳の彼女は巫女の衣装が板についている。
緊張の解けない表情で舞うが、観に来た弟たちと目が合うと口元に笑みが浮かぶ。
焼津で生まれ育った彼女にとってはこの祭りが人生の一部になっているのだろう。
つつがなく舞い納めて、大役から解放されるとようやく自然な笑みがこぼれた。
















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