都会に暮らす子どもたちが夏休みで田舎の家にやってきたら、なにかしら小さな冒険があったりドラマがあったりしそうだが、実際は古い家の座敷で頭を寄せ合って、ゲームの小さな画面から顔を上げようとしない。
外に遊びに行くよ。「じゃあかくれんぼするんで、見つけたら写真撮っていいですよ」八歳の男の子は言う。
大きくなると知恵がつくものである。
近所にある小さな神社の境内に行く。
じっとしてると彼らがどんどん不機嫌になってゆくので、がんばって遊ぶのだが彼らのやる気のないことこの上ない。
すきあらば勝手に帰ろうとするので、今日は撮影のために来てるから外で遊ばないといけない旨を説明する。
仕事なのか。しょーがねえなあ。
あきらめの表情でしゃがみ込む彼らのテンションを上げるのは砂漠に水を撒くようなものである。
汗だくになって走り回って写真を撮ってそろそろ帰るかと言うと、撮影から解放された彼らはさっさと家に向かって歩き出すから僕はその背中を追う。
そういうものだ。
子どもの写真は撮れるうちに撮っておくほうがよい。
時間は戻らない。やがて見えなくなる景色。
そういえば40年前、小学生だった僕の夏休みは、祖母の家でファミコンの『グラディウス』をずーっとやってた。あれは面白かった。
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