ハーフバースデーと一歳誕生日の撮影は緊張する。
写真の主役は赤ちゃんで、絶賛人見知り中!なことが多いからである。
ママがいくら「大丈夫だよ〜」と言っても通じない。
見知らぬフォトグラファーがいきなり目の前に現れて怖くならないわけがない。
そういう撮影である。
フォトグラファーによっては離れたところから気配を消して撮ったりするだろう。
僕はできる限りそういうことはしたくなくて、はじめから赤ちゃんを遊びに誘う。
慣れてくれなくて泣かれてしまうこともあるけど、やっぱり赤ちゃんが楽しく笑う写真を撮りたい。
一歳の赤ちゃんは男の子である。
案の定人見知りされて大泣きされかけたのであるが、第二子で四歳のお兄ちゃんがいる環境がよかったのであろう。
しばらくすると僕の動きに合わせて笑ってくれるようになったから、今日はもう優勝したも同然だ。
選び取りをしてから一升餅。
赤ちゃんの顔より大きな餅のそばには小さな草鞋が置いてある。
ママは福岡の人である。
福岡では一升餅を背負わない。赤ちゃんに草鞋を履かせて踏ませる。
これ(草鞋)、東京で売ってるんですかと間抜けな質問をしてしまった。
ママは笑って答える。実家にあった30年前の草鞋を用意したらしい。
赤ちゃんは無理やり履かせられる草履を嫌がって泣きそうになるが、僕が撮りながらあやすと笑ってくれたのはよかったのかどうなのか。
家族みんなで赤ちゃんの初めての誕生日をお祝いして、日々の育児はどうしようもなくたいへんだと思うのだけど、パパもママもそんなに頑張らなくていいから自分の体を大切にしてくださいねと、撮影しながらいつも思う。
それができれば苦労はしないだろうけど。
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