太陽に熱せらられてサウナのような鎌倉である。
駅からおびただしい人が吐き出されて駅前の小道を埋め尽くす。
35℃を越える暑さなのに、なんでこんなに人が多いのかマジでわからん。
レンタル着物のお店で浴衣を着た家族はシンガポールから来ている。
暑さに慣れているはずの彼らでさえうんざりした表情を見せるのだから日本の夏の暑さは異常である。
予約をいただいたのは一ヶ月ほど前のことで、間違いなく"crazy hot"になるけど大丈夫かと念押ししたのだけど、これほど暑いとは思っていなかったろう。
じっとしていると余計に暑さを感じるので、三人の子どもたちと遊び続ける。
九歳女の子、七歳男の子、五歳女の子。
人見知りせずにカタコトの英語だけで遊んでくれる。よかった。
さすがに2時間も遊び続けられないので、途中でかき氷を食べませんかとうながす。
子どもたちに異論のあろうはずがない。
屋台のおばちゃんが差し出す粗削りのかき氷は、砕いた水晶のようにきらきら輝く。
子どもらはひたすら無言で氷を口に運ぶ。
その様子を眺めるママが「こんなのが幸せなのよね」と言う。
まさしく。
その幸福の感触はかき氷の氷の粒のようにはかなく溶けて消えてしまうのだけど、いつかまたふと思い出すときがあるだろう。
写真はその記憶を補完するために残り続ける。
スポットライトのような陽射しを浴びて浴衣が花のように鮮やかに浮かび上がる。
きっと子どもたちはいつか忘れてしまうだろう。
眩しいほどの夏の思い出を。
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