茶の間で長男くんと親戚家族が大学受験の話をしているのを聞きながら、ずいぶん大人になったものだと思う。
英語が彼の悩みの種であるらしい。「先行きまったく見えない」とこぼす。
親としては地元の国立に行ってほしいのが本音だが、こればかりは本人しだいであろう。がんばれと応援するしかない。
僕もそうだったけれど、受験前ってほんまに未来が見えんのよね。
パパの実家には墓参りをすませた親戚も集まる。
子どもらにとってはおじさんおばさんになる。いつも会えるわけではないのに、みな仲がいい。
おばあちゃんが丹精している庭に出て集合写真を撮る。
これがあと10年くらいしたら、おじさんおばさんが結婚式に招ばれて高砂の新郎新婦と一緒に記念写真を撮るのかしらんと思ってしまう。僕のほうが気が早い。
気がつくと見えなかった未来が現実になっている。
撮影の最後に昨年と同じように茶の間で記念写真を撮ると、パパの母上が言った。「こんな日が来るとは思ってもいなかった」
受験生の彼にもきっとそういう日が来る。
お家を辞するときにパパからお土産のお菓子が入った紙袋を渡されてありがたく受け取る。なんか嵩があるなと思って袋の中を見たら、茶の間でひとつつまんだ「さきいか」の新しい袋が入っていた。
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