着物姿の若い女性たちが次々に家族をともなって後楽園入口の木戸をくぐってゆく。
園内で写真を撮るのだろう。浮き立つような空気が伝わる。
よく晴れて風もない。成人式には申し分のない天気である。
彼女は母親と一緒に現れた。
浅葱色の振袖にピンクの牡丹が描かれて華やかだ。
本人はいたって落ち着いたもので、撮りたいカットを尋ねても「さあ……?お任せします」とだけ答える。
学生ではなくすでに社会人で「事務してます」とだけ答えるから、更問いしたら岡山のバス会社に勤めているという。
交通系大好き人間としてはそれだけで勝手に盛り上がる。
運転士になる?彼女は即座に否定する。
第二種免許の取得費用は会社持ちなのにもったいない!と思うが余計なお世話か。
社内はおじさんの運転士ばかりだから、彼女は娘のように可愛がられているようで、仕事に特段の不満はないらしい。いい職場に巡り会えたものだ。
そういえば撮影の予約は彼女自身からいただいたし、撮影終わって彼女は自分のクレジットカードで支払いをする。
社会人だからというわけでもないだろうけど、しっかりしている。
すでに自分の力でで歩いている彼女の人生が実り多いのになりますよう。
今日は久しぶりに会う友達と成人式を楽しんで。成人おめでとう。
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