集落の中ほどにある小さな神社が氏神様。
近隣から宮司さんが来てくれて祝詞を上げる。
板張りの拝殿に座って、前に見えるのは小さなお社の中の鏡。見えない神様に向かって頭を下げる。
お宮参りの赤ちゃんにはひとつ歳上のお姉ちゃんがいる。
つまりまだ一歳だからきっと人見知りして泣くだろうと思っていたが、そうではなかった。
泣かれない代わりに、とにかく動き回ってじっとしていない。
パパが抱っこしたらなかなか動かないものだが、体をよじってその腕から逃げ出そうとするので、記念写真も撮れない。さいきん活発な子を撮ることが多いな。
子どもがそうだと親が先に疲れてしまうもので、あまり撮れてないのに「撮影はもういいです」という空気になってしまう。
家族写真はただ家族全員が写っていればいいというものではない。
あとで見て満足できるものでなければならない。親は子どもの笑顔が見たいのである。
一ヶ月の赤ちゃんはともかく、女の子の笑った顔をなんとか撮りたい。
あとちょっとだけ撮ります。たぶんパパとママは早く家に帰りたかっただろうけど、家族だけ寄り道してもらった。
何がきっかけになるかわからない。
女の子の動きを遊びに変えると彼女の意識が僕に向いてくれたようで、ようやく笑顔の家族写真が撮れる。
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