春うららかな海べりは観光客がそぞろ歩いていて、賑わってるなあと少し嬉しくなる。
もっとも写真を撮るには人が少ないほうがいいのだが、閑散とした観光地は寂しいものである。
渡船の乗場の東の遊歩道には河津桜が植えられていて、薄紅色の花が満開だ。
薄紅、と書いたけれども色の和名には「撫子色」というのがあって、そちらのほうが合っているかもしれない。
10歳の女の子はまごうことなき撫子である。
桜の花の向こうで緊張気味に立っているので遊びながら写真を撮る。
彼女の家族は東京から広島へ、そして尾道に引っ越してきた。
パパにいずれ東京に戻るのかと尋ねたら、「いや、もうここに住みたいです」と答える。
尾道は移住者の多い街だ。
山と海に挟まれた独特な街並みは、好きな人にとってはたまらないロケーションである。僕もその一人。
女の子にとってはここが故郷になるのかどうかわからないけど、彼女も尾道を好きになってくれたらいいなあ。
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