ガマという植物をご存知だろうか。
浅い水辺に育ち、丈は1〜2メートル、ススキのような立ち姿だが先端には串に刺したソーセージのような円柱状の花をつける。
公園の干上がった池に生えていたガマの花をほぐすと、タンポポの綿毛にた種子が魔法のように溢れ出る。
僕は初めて見たのだが、それはもう面白いように出てきて、これはめっちゃ楽しいですなあ。
小学生の次女ちゃんと次男くんは大興奮である。
ガマの穂を振り回すと、まるで吹雪のように綿毛が舞い踊る。
二十歳になる長男くんと中学3年生の長女ちゃんはさすがに落ち着いているが、全身に綿毛のシャワーを浴びて笑顔を見せる。
毎年ご依頼いただいて今年で7回目。4人兄妹が勝手に遊んでくれるから、僕はそれを撮るだけだ。
初めて撮ったときからそうだった。
ひとり一人個性の違う子どもたちが、予定調和のように遊ぶ。それはなんだか不思議な、美しいものを見ているみたいだ。
彼らは順番に大人になり、やがて家を出ていき、新しい家族を作るだろう。
そう考えると、家族というのは20年ほどの期間限定の運命共同体であって、それが長いか短いかは人によるだろうけど、空に浮かぶ雲がひとときも同じ形をしていないように、とても儚く貴重なものではないかと思う。
撮影のときにこんなこと考えてる余裕はないんだけど、そんなふうに思います。
そういえば家族は撮影中、公園の池に外来種らしい亀を見つけて捕まえて、別の池に移したのだけど、その亀がどうなったのか誰も気にしないまま、遊びまくって帰った。
あの亀、今ごろどうしてるかなあ。
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