青空の下にコスモス畑が広がって、訪れた人たちはその鮮やかなコントラストに感嘆の声を上げる。
おだやかな秋の日である。のんびり花を眺めていたい……が、五歳と三歳の兄妹はもちろんコスモスなぞ見ちゃいない。
お兄ちゃんは花に止まったトンボに釘付けになり、妹ちゃんは持ってきたうさぎのぬいぐるみをパパに押し付けて駆け回る。
ママは子どもたちの名前を呼ぶが、馬耳東風とはこのことかと思う。
じっとしてとかカメラを見てとかいうフレーズはまるで意味をなさない。まことに子どもらしくっていい。
気のおもむくまま、どこまでも自分の好きなものを追いかけて遊んでいられるのって、子どもの幸せな特権ではなかろうか。
できるならもっとたくさんひたすら無心に遊びたい。
写真を撮るのはその次だ。
コスモスの絵の具で彩るキャンバスの上で子どもたちの笑顔の花が咲いた。
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