5年生の女の子は小さなトカゲを手のひらに乗せて、やや寂しげな表情を見せる。
彼女の小指ほどの生き物が、ここはどこだとあたりを見回す。
家で飼っていたその「ぽんちゃん」を公園に逃すことにしたらしい。今日でお別れなのである。しんみりしている彼女の向こうで、ママは「家にまだあと5匹いるんです」と苦笑しながら言う。
彼女が公園の隅っこの草むらにトカゲを置くと、すぐにコンクリの隙間に身を潜めるようにしてじっとしていた。
「ぽんちゃん」と別れて落ち込む彼女をママが慰める。
こういうときの子どもの気持ちは大切してあげたい。それは大人になってもあまり変わらないような気がする。
家族写真を撮ったあとは、彼女と1年生の弟くんとで遊ぶ。その間、パパとママは離れた場所で休憩。僕に二人の相手を任せてもらえてありがたい限りである。
二人が赤ちゃんの頃から撮っているが、成長するにつれて少しずつ無邪気さが薄らいでゆくのは仕方のないことなのだろう。そのかわり、一人の大人としての肖像が立ち上がってくる。
自然に笑った写真は撮りづらくなるけれど、ふとした瞬間の表情にその子らしさが表れてくるようで、それはそれで撮っていて楽しい。
緑を背景に、なにかの拍子に姉弟は顔を見合わせて笑い合う。神さまのプレゼントのような光景が撮れたのは嬉しかった。
そうだ、撮影終わってから彼女に今年もプレゼントをいただいたのだった。ありがとうございます。
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