宮島口のフェリー桟橋から見る宮島は、灰色の雲の下でどっぷりと濡れている。
疫病の流行るこのご時勢であるが、今は夏休みのハイシーズン。フェリーを待つ観光客の短い列ができていた。
傘をさして厳島神社の入口に現れたのは、一ヶ月の赤ちゃんを抱っこしたママとベビーカーを押すパパとそれに乗った三歳のお姉ちゃん。それに両家のご両親。
本来ならば大阪から来たパパのご両親の観光も兼ねていたのだろうが、降りしきる雨の中ではそれもかなわず。
それでもお宮参りが厳島神社でよかったかもしれない。これだけ屋根付きの回廊を持った神社は他のどこにもない。
赤ちゃんはぐっすり寝ていたから、撮影では三歳の女の子と仲良くなるのをまず優先。
おじいちゃんおばあちゃんが「ハイニッコリ笑ってー」と言えば言うほど小さな子どもの表情が固くなるのは日本全国共通の現象です。
雨だし遊べる場所もないけれど、彼女との距離が近くなったところで記念写真を撮る。
祈祷のあとは広島市内で会食の予約があるとのことで、撮影もそこそこに家族はまた雨の中を歩いてフェリー乗場に戻る。
予定していた撮影時間は終わっていたが、やはり写真が少ない。こういうのは撮りながらわかる。
このままでは終われないので家族と一緒に同じフェリーに乗り込む。
フェリーの中で女の子の、宮島口の桟橋のベンチで赤ちゃんの写真を撮って、ようやくなんとか形になった撮影であった。
余計な撮影と思われたかもしれないけれど、それでもいい。
今日の写真は今日しか撮れないのだから。
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