いつも撮影を依頼くださるメイクスタジオで、還暦を迎えたご夫妻の写真を撮る。
赤いドレスをまとった婦人は美しく歳を重ねておられて、見とれる。伴侶の紳士も堅実に生きてこられた落ち着きがある。
お二人は大阪の同じ会社で出会ったという。
時はバブルの前。日本経済が上り調子だった頃であり、仕事は忙しかったが、若かった二人は梅田あたりでよく遊んだそうだ。
勢いがあっていい時代であった。
それから幾星霜。子どもが生まれ、大きくなって結婚して孫もできた。
気がつけばそんな歳になっていたというのが実感ではなかろうか。
見つめあって談笑する二人の間の空気は、家のリビングからそのまま持ってきたようである。
はじめはカメラの前でぎこちなかった紳士も、撮影するうちに最後は自分でポーズを決めるようになっていた。きっと若い頃はやんちゃしてたんだろうなー。
還暦とはいえ人生はまだ長い。
これからも二人の良き時間が積み重なっていきますように。
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