花嫁さんの髪飾りは桜の花。
白無垢にも薄紅かすかな桜の花。
境内にも早咲きの桜が枝垂れ桜に河津桜。
ソメイヨシノも咲くのではないかという暖かい日の結婚式は、心が浮き立つ。
家族だけが集まって二人をお祝いする。
花嫁さんははじめ正面の参道で参進するつもりがなかったらしいが、巫女さんに「ほんとにやらないんですか!?」的に確認されて、僕に「そのほうか写真映えしますかね」と尋ねる。
広い参道を相合い傘で拝殿へ向かって進むのは、この神社の売りでもあるから、否定する理由が見つからない。
真っ赤な相合い傘を持つのは新婦のお兄さんで、巫女さんから傘を手渡された彼は「いきなりこんな大役を……」と呟きながら、ビーチパラソルのような傘を二人にさしかける。
巫女に先導されて家族はゆっくりと拝殿に向かって歩く。
三三九度も誓詞奏上もぎこちないながらも二人は一生懸命にこなす。
形式的な儀式かもしれないが、それにはやはり意味があって、二人の結婚が認められたという事実が生まれる。
結婚式はつつがなく結んだ。
神主さんは短い挨拶に「禍福は糾える縄の如し」という諺を出してきた。
人生山あり谷あり。二人で乗り越えていってほしいと思う。結婚おめでとう。
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