僕はミチコさん(妻です)と結婚式をしていない。
結婚当初は僕と僕の親とがうまくいってなくて、結婚もはっきり言って反対されていたから、結婚式をする雰囲気でもなかったし、お互いに結婚式をしたいと思う性格ではなかったので、市役所に届けを出し行っただけだった。
それでも十分僕は満足だった。
そもそも、なぜ結婚式をするのだろう。
両親に感謝の気持ちを伝えたいから。
おじいちゃん、おばあちゃんに花嫁(花婿)姿を見せたいから。
今までお世話になった人に祝ってもらいたいから。
友人達と楽しい時間を過ごしたいから。
人それぞれにいろんな理由があるだろう。
でも、僕には正直ぴんと来ない。
それならば、わざわざ結婚式をしなくてもできることなんじゃないか。
結婚式でなくてはできないことはなんだろう。
きっとそれは、「神さまの前で永遠の愛を誓う」というあの儀式だ。
チャペル(教会)、神社、お寺、宗教や場所は何でもいい。
自然のような大きな存在(面倒くさいので「神さま」と呼びます)に、二人が一緒になるという許可を得るためではないか。
誓いの言葉や、指輪の交換といった儀式は形式的なものに過ぎない。
形式は時代とともに変わるだろうけど、神さまに二人が向き合い、頭を垂れるという構図は今も昔も、洋の東西を問わず変わらない。
結婚式をするならば、
「私、この人と結婚します!」というストレートな気持ちを、目の前の十字架や、神棚や、仏像にぶつけてほしいと思う。
宗教の話ではない。人の心にけじめをつけるのは、自分の良心以外にありえないと思うから。
かくいう自分はどうだったか。
入籍した夏、僕はミチコさんと一緒に祖父の墓参りをした。
それが僕にとっての結婚式だった、と思っている。
Comments