秋の陽が射す静かな公園で、彼女は一生懸命に笑おうとする。
何かを言うと、すぐその後に謙遜の言葉を続ける。
根が真面目な人なんだろう。でも、そんなことしなくっても大丈夫なのだ。
そのままで十分魅力的だしかわいらしい。
還暦を前にして記念に写真を撮りたい。そう思い立ったが吉日、依頼をいただいた。
写真を撮れば何かが変わるというわけではない。
ナルシストな人でなければ、自分の容姿にうっとりすることもなかろう。
ただ自分がそこにそうして生きているということを知れる。
当たり前のことかもしれないが、それはとても大切なことなのではなかろうか。
公園の池のまわりを散歩するように歩きながら写真を撮る。
彼女の若い頃はバブルの盛り上がりの時期で楽しかったというような話をしてくれる。うちの妻もそう言ってます。
嬉しいことも悩みごとも、歳を取って見えてくるものがある。
これからも彼女はきっとその真面目さで生きてゆくだろう。それでいいのだと写真の中の彼女が言う。
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