小学生でもスマホを持っていることが珍しくない昨今、一人で知らない場所へ行くというのはそれほどハードルが高くないのではないか。
そう思ったりしたけど、実際はやはりそうでもないらしい。
小学四年生の男の子は旅の途中で一回も笑顔を見せることがなかった。
昨日モニター募集したらすぐに反応あって今日撮影できることになった。
目的地を決めてくださいとお願いしたら、意外に家から近い場所になってしまったが、初めてだからいいでしょう。
家を出た彼は半ば小走りに駅まで歩く。周りの景色はほとんど見ていない。
短い旅は五反田から山手線で品川まで行き京急に乗り換え立会川まで。
あまり迷うことなくすんなり乗り換えできるなあと思ったら、昨日のうちに全行程を下見していたらしい。
それだと「はじめて」の意味があまりないのであるが、自分一人というのはいくぶん心細いと見えて彼は終始硬い表情をしている。
旅はただ電車に乗るだけの体験ではない。孤独を感じるのもまたひとつの体験である。
目的地の公園には待っているはずのパパの姿がなく、しばらく遊んで過ごす。
彼はようやく現れたパパに笑顔を見せるかと思えばそうでもなく、淡々としている。彼としてはできて当たり前なのかもしれない。
表情からは一人旅を終えた充実感があるのかどうかわからないけど、ささやかな思い出になってくれるだろうか。
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