爽やかな風が吹く五月の月曜日である。
昨年は夏を思わせる暑さだったが、今日はほとんど汗をかかずにすむ。
16歳の犬はおやつを見せると飛び跳ねる。知らないよその犬が散歩に来たら縄張りを主張するかのように吠えたてる。毛並みもつやつやしていて元気でなにより。
百貨店に勤めていた頃から毎年彼女を撮ってきて、もう10年以上になるらしい。
残念ながら僕が彼女の名前を呼んでも全然振り向いてくれないが、飼い主さんとは心が通じ合っている。
体調が悪かったりすると、何もしていなくても横に来て寝てくれるのだという。
「三原さんとこの猫ちゃんはどう?」と聞かれたが、僕が落ち込んでいてもなぐさめてくれる猫はいないような…
撮影終えて駅に戻る道は、「奥の細道」にも出てくる旧日光街道の松並木。
缶酎ハイを手にベンチにぼんやり座っている老人と目が合った。なんの感情もないような目であった。
昼間から酒を飲む老人が生き生きしているはずがない。彼は一人暮らしなんだろうか。犬か猫を飼ってみたらいいのに。
僕は結婚してから初めて動物(猫)と一緒に暮らすことになったが、できれば死ぬ前までいてくれたらいいなと思う。
ความคิดเห็น